あなたはなぜその国へ? 〜セネガル編〜

海外移住をした女性たちへインタビュー。

今回は、JICAの青年海外協力隊としてセネガルへと移住した、服飾に関わるヤナイ レミさん。

Landerとは、映画『ハイヒール〜こだわりが生んだおとぎ話』で衣装制作として参加してからの付き合い。現地の人とともに、物作りに携わるヤナイさんの仕事への姿勢とセネガル生活に触れます。


◆Profile◆

ヤナイ レミ(@remi_yanai)/アパレル勤務/20代

拠点:セネガル/1年9ヶ月


Q1:移住前はどんな仕事をしていた?

「専門学校卒業後、ニットウェアのOEMで企画デザイン、営業、生産管理の仕事をしていました(企画したデザインを海外工場で生産し、サンプルをアパレル企業に営業に行きオーダーを頂き、生産し納品するという一連の流れを担当していました。)。もともと、オートクチュールや衣装をやりたいと思って服飾の道に進んだので、会社とは別で学生の時から衣装製作やドレス製作の仕事も継続して少し行っていました。」


Q2:Lander製作の映画『ハイヒール〜こだわりが生んだおとぎ話』の衣装制作はヤナイさんにとってどんな経験だった?

「会社で既製服の企画デザインをするようになり既製服の企画も面白いなと思うようになりましたが、一方で衣装や面白い事(クリエーションをしてワクワクするような事)をしたいなと、うずうずしていた時期に頂いた仕事でした。学生の時から衣装の仕事を少ししていたのですが、映画の衣制作は初めての事だったので何もかもが勉強でした。衣装イメージの打ち合わせで監督やプロデューサーから出て来るアイディアや世界観に凄く刺激を受けたのを覚えています。その世界観を衣装に落とし込む時間は非常にワクワクする時間でした。またスチール撮影とは違い、役者さんの演技の動きにあったデザインや縫製であるかなど、多くのことを勉強させてもらいました。何より『ハイヒール〜こだわりが生んだおとぎ話』の名前の通り、物作りの『こだわり』を肌で感じる経験でした。」


Q3:海外移住(JICAの青年海外協力隊への参加)を考え始めたのはなぜ、いつから?

「色々な人と物作りをしたい、自分の持っている技術を使って何かしたいと思っていた時に、JICAの青年海外協力隊に服飾の要請がある事を友人から教えてもらったことをきっかけに、海外移住に興味を持ちました。」


Q4:海外で働くにはさまざまな方法と国がある中で、なぜ海外青年隊を選んだ?

「青年海外協力隊を選んだ一番の決め手は、現地の生活に入り活動ができるという点に魅力を感じたからです。現地の人と近い所で一緒に活動が出来ると考えたからです。」

Q5:移住国をセネガルに決めたきっかけは?

「希望派遣国は選べるのですが、幼い頃に広告で見たアフリカの写真が心のどこかに残っていたため、アフリカを希望しました。最終的には面接で適正に合った国をJICAが決定し、セネガルへの派遣が決まりました。もともと自由に生きて来た方なので、周りからはあまり驚いた反応はありませんでしたが、多くの人がとても応援してくれ、背中を押してくれました。」


Q6:移住後、どんな仕事をしている?

「現地の職人さんに物作りを教えながら色々な物を作っています。セネガルの職人さんはセネガル服を主に作っており、私はそれ以外の服、ジャケット等や小物(ポーチやバック、パソコンケース等)の作り方を教えています。」


Q7:海外移住(JICAの青年海外協力隊への参加)を考え始めたのはなぜ、いつから?

「色々な人と物作りをしたい、自分の持っている技術を使って何かしたいと思っていた時に、JICAの青年海外協力隊に服飾の要請がある事を友人から教えてもらったことをきっかけに、海外移住に興味を持ちました。」


Q8:移住前の自分にアドバイスできるなら、どんな言葉をかける?

「語学力を磨く。公用語のフランス語、現地語のウォロフ語。正確な数は分からないですが、セネガル人に聞くと8〜10くらいの民族の名前が出てきます。地域にもよりますが主にフォロフ語が多く使われています。フォロフ族以外の人でもフォロフ語を話せるセネガル人が多く、セネガル人同士の会話はフォロフ語を使っている事が多いです。協力隊を選んだ一番の決め手は、現地の生活に入り活動ができるという点に魅力を感じたからです。現地の人と近い所で一緒に活動が出来ると考えたからです。」


Q9:移住前と後、最もギャップを感じたことは?

「時間の流れの違い。セネガルで流れる時間は非常にゆっくり。約束した時間の2時間後に始まるという事もめずらしくないので最初は戸惑い、時間に余裕の無いときはやはり困る事もあります。しかし、文化を知ってしまえば自分で時間を調整して行動すれば良いので、今ではあまり気にする事はなくなりました。 私が住んでいる場所は地方都市という事もあり、インフラもある程度整っています。インターネットも使えますし、コンクリートの建物も多くあります。スマートフォン片手にWhatsAppを楽しむセネガル人も多くいます。そのような光景はイメージしていたアフリカとは別物でした。空港に降り立つと思っていたよりもビルなどが建っていて驚きました。日本のように忙しい都市というイメージはあまりなかったの派遣後ギャップを感じる事はありませんでした。しかし一方で、地方の村に行けばカーズ(木や藁で作った家)に住んで電気やガスのない生活をしています。イメージしていたアフリカの風景という感じがします。」


Q10:実際移住してから見出した、その国の魅力とは?

「とにかくみんなお洒落で気さく。親切な人が多いです。」


Q11:その国に住んでて「正直これはキツイ...」と感じることは?

「満腹になっても「もっと食べろ」と勧められ席を離れられない事。セネガルには『テランガ』という日本のおもてなしに似た文化があり、家に来たお客さんにはご飯をもてなす風習があります。満腹だからもういらないと伝えることは特別、無礼にはあたりませんが、彼らの好意を断りたくないので頑張って食べてしまいます。」


Q13:日本にもあったらいいのに、と思うその国の魅力的なサービスは?

「安く、美味しく、簡単に食べられる朝ご飯の屋台。朝食にはフランスパンに色々な具材(オムレツ、お肉、お豆やたまねぎソース等)を挟んだサンドウィッチのようなものを食べるのですが、100円も出せばサンドウィッチとコーヒーが買えます。 地元の方にとって朝ご飯屋さんは身近な存在のように感じます。子供から大人まで多くの人が利用しています(中には家から持ってきた朝ご飯を食べる人や、家からパンだけを持って来て屋台で具を入れてもらって食べる人もいます)。セネガルの朝ご飯は10時頃なので学校や職場では朝ご飯休憩があり、この時間になると屋台がにぎわいます。お店で食べる人もいれば、テイクアウトして職場や学校、家で食べる人もいて様々です。ただ、歩きながら食べるという事はあまり見ないです。朝ご飯屋さんの魅力はどこにでもある手軽さと味が凄くおいしいところです。また、決まったお店で食べる人が多いので、お店の人やお客さんと仲良くなれる事も魅力の一つです。私の感覚(セネガルに住んでいる日本人の感覚。セネガル人にとっての100円はそれぞれの所得などにより違うと思うので分かりません。)ですが、セネガルの100円は日本円の300円〜500円くらいかなという感じです(100円の朝ご飯は私的には贅沢な方で、毎日食べる朝ご飯は50円くらいです)。」


Q14:その国で働くのに必要な心構えと、身につけたいスキルは?

「パワフルなセネガル人のテンションについていく心構えが必要。生活全てがパワフルに感じます。おしゃべりが好きでコミュニケーションも凄く濃いです。怒ったり、笑ったり、冗談を言い合ったりと感情面も非常にパワフルです(声も凄く大きいです)。また、朝早くから夜遅くまで起きている人が多かったり、熱い中、歩いて通学したりと体力面でもパワフルだなと思います。忙しい時期の職人さんの労働時間は長く、夜中まで働いていたりとパワフルに感じます(私がセネガル人と同じ1日を過ごしたら、夜5時までが限界だと思います)。セネガルではイスラム教の人が多いのでお酒を飲む習慣はあまりないです。」

Q15:その国で、日本人の強みを活かしたおすすめの職業はある?

「私はセネガルで服飾でしか活動をしていないので、どのような職業となると分からないのですが、セネガルで物を作る活動を通して感じたのは、日本での物作りの感覚(日本での流行や、物作りの丁寧さなど)や、セネガルの良さ(伝統的なセネガル服やセネガル生地)をミックスしたら新しい形のものが出来るなと思いました。」


Q16:あなたは10年後どこで何をしていると思う?

「アフリカのどこかで物作りに関わる仕事をしていたい。移住するかどうか、具体的にはまだ分からないのですが、アフリカ(できればセネガルで)服飾関係の仕事をしたいと思っています。優しく、家族を大切にし、素直にまっすぐ生活しているセネガル人が好きになったのと、セネガルのファッションや生地が凄く魅力的なので今後もセネガルと関わって物作りが出来たら良いなと思っています。」


Q17:海外に移住したい、海外で働きたい人に向けて一言声をかけるとしたら?

「地域により違いますが、私のいるルーガでは道を歩けば自由に散歩している羊、ヤギ、牛や豚などの動物に出会えます。色々な出会いを楽しんでください。」


Q18:あなたのモットー(座右の銘のようなもの)は?

「やらないで後悔するなら、やって後悔した方が良い。」 


《編集後記》

映画『ハイヒール〜こだわりが生んだおとぎ話』の衣装を生で見ましたが、緻密で繊細な作りはまさに職人技という印象が残っています。ものづくりに真摯に向き合う人の作品は、圧倒されます。肌の色や生まれ育った背景が全く異なるセネガルの人々と、ものづくりを通して心が通うってとても素敵なこと。今後、ヤナイさんとセネガル人の良さを折衷した作品が生まれていくのが、楽しみでなりません!(by ELIE from Paris)

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リモートワーク × 女性 × セカイ 世界各国で暮らしたり旅しながら映画や広告の第一線で活躍できるのはなぜ⁉️ 女性たちが世界中からリモートワークで働くクリエイティブカンパニーLander Incの働き方を紐解くことで今を生きる女性へ自分らしくあるヒントを届けるコミュニティ型メディアです。

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