パリジェンヌのリアル〜独身編〜

男女同権が進むフランスで働く女性は、どんな『自分らしい』働き方生き方をしている?今回は、ロシア出身でパリ在住11年のファッションバイヤー、エカテリーナ・グラズノヴァさんのリアルな声を聞くことに。

◆Profile◆
エカテリーナ・グラズノヴァ(@ekat.glazunova)/ファッションバイヤー/30代

Q1:あなたの仕事について教えて。
「パリに店舗を構えるコンセプトストアTom Greyhound Paris(@tomgreyhoundparis)のファッションバイヤーです。新しいブランドの開拓、セールス戦略、マーチャンダイズ、ブランドとのスペシャルコラボレーションやカプセルコレクションイベントの企画を立てるポジションにいます。」

Q2:現在の職を選んだのはなぜ?
「ロシアで生まれ育ち、フランスの大学で学ぶため留学生として20歳の時(11年前)にパリへ来ました。ファッションマネージメントの修士号を取った後、Tom Greyhound Parisでアシスタント・ディレクターとしてインターンシップを始め、その後バイヤーに昇進しました。正直なところ、バイヤーになる前はこの仕事について詳しくありませんでしたし、バイヤーになるとも思っていませんでした。しかし、仕事を始めるとすぐ、責任感を感じるようになりました。今は、夢のような天職につけてとてもラッキーだと感じています。」

Q3:仕事で最も好きなことは?
「私たちは小さいチームのため一人が複数のタスクを担うのですが、それが今の仕事の最も好きなところです!たくさんの素晴らしい才能ある人々に会える機会と、面白いプロジェクトを進めることができるから。」

Q4:バイヤーにはどんなスキルが必要?
「バイヤーは、創造性と実用性の両方を兼ね備える必要があります。数字に強くなければいけないだけでなく、自分の好みのテイストを理解しながら、ファッションの流行にも敏感でいなければいけません。さらに、アートや音楽にも好奇心を持つことも重要です。ファッションは人間の生活のあらゆる側面と関連しているので、バイヤーは広い視野で様々なことに興味を向けている必要があります。」

Q5:基本的な勤務時間、残業のありなし、バケーションの期間などは?
「通常は週35時間労働(9AM〜5PM)、もちろん残業や週末出勤が続くファッションウィーク期間以外ですが!フランスは、ラッキーなことに5週間のバカンスが取れます。」

Q6:育児休暇はある?どれはどんなもの?
「はい、育児休暇はあります。正直、近い将来子供を作るとは想像もできないし、詳しい条件などは知りません。しかし、フランスは比較的容易に、有意義に育児休暇を取れると聞いたことがあります。」

Q7:パリは働く女性にとってどんな場所?
「パリは仕事をするのに素晴らしい街だと思います。なぜなら、ヨーロッパの中心であり、ファッションの主要都市だからです(ファッション業界人にとっては一番良い都市)。中心地でありながら大きくないというのも魅力だと思います。しかし同時に、女性にとっては安全な場所だとは思いません。服装が与える周囲への影響を考えて、フェミニンさは少なめにする必要があると思います。」

Q8:あなたの人生にとって仕事をどのようにとらえている?
「今のところ、仕事は私らしくいるための重要な要素です。この業界も、私がやっていることもとても好きなのです。仕事でのたくさんの挑戦が、私の生きる原動力になっていますし、仕事は自尊心を養い、ありのままの自分でいることを許容してくれると感じます。立ち止まるなんて考えられません!」

Q9:将来結婚や出産をしたとしたら、仕事への取り組み方やモチベーションは変わると思う?
「今は、結婚も子供を持つことも考えていません。それは簡単なことではないし、全ての人にとって重大な決断ではないでしょうか。私にとって、物事をきちんと進めることは大切ですし、もしも家族を持ったらたくさんの時間を注ぎたいと思っています。現在は、その準備はできていないし、仕事が大好きなので、可能な限り仕事を楽しみたいと思います。」

Q10:女性であることで、『ガラスの天井』を感じた経験はある?
「キャリアを積み始めたころ頃、私は女性として、周囲に真剣に認められるためによりたくさん働かなければいけないと思っていました。しかし今、その努力が自信に繋がり良い結果をもたらしたと感じています。」

Q11:仕事やプライベートで落ち込んだ時は、何をする?
「ストレスや悩みを解消するために、ヨガをします。あと、友達に会うこと!」

Q12:今現在抱える悩みはある?それはどんなこと?
「楽観的な人でいたいと思っています。迷うことはあっても『悩み』は私にとっては強過ぎる言葉です。人は思っている以上に強いと思います。悲観的になる必要はなく、いつだって答えは存在するはず。ネガティブな側面をみる代わりに、人生を楽しみましょう!」

Q13:10年後あなたはどうなっていると思う?
「10年後何をしているか答えるのはとても難しいです。おそらく別の都市にいて、自立している(自分のお店を運営)かもしれません。ロシアで生まれ育ち、20代でパリに来て一人でここで人生を構築したのは素晴らしい体験でした。違う都市で、新たにその挑戦をするのは有益なことだと思っています。」

Q14:生きる上でのモットーは?
「ラテン語を学校で学んだ時に知った”Per aspera ad astra”という言葉。意味は『困難を経て星の世界へ』です。これは私自身を定義する言葉だと感じています。苦難や逆境を恐れてはいませんし、たくさん働くことで結果がついてくると信じています。」

《編集後記》
親友である彼女は、会う度にポジティブな気分にさせてくれる魅力的な女性。仕事に対して愚痴をこぼす事もあるけれど、決して人のせいにはせず、自分の中に湧くマイナスな感情をプラスに変えて常に前進する人。彼女から学んだ事は、ポジティブ・ネガティブは性格ではない、考え方次第ということ。(by ELIE from Paris)

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