Empower WOMEN! #1 小川 孔一

女性エンパワーメントに取り組んでいる企業・団体にインタビューを行い、どのような活動をしているか、また今後の展望を伺います。ひとりでも多くの女性が『自分らしく』いられる社会を目指して。

今回は、日本における『国際女性デー』イベントのパイオニア、『HAPPY WOMAN』実行委員長の小川孔一さん。今年で3年目を迎え、12都道府県でイベントを実施し、拡大を見せる当イベント。男性である小川さんが、女性エンパワーメントに取り組む理由や哲学を伺いました。
◆Profile◆
小川 孔一(@happywoman0308)/HAPPY WOMAN実行委員会 実行委員長、(一社)ウーマンイノベーション 代表理事、HAPPY WOMAN(株) 代表取締役
拠点:東京

Q1:『HAPPY WOMAN』について教えて。
「女性のエンパワーメント推進及び社会活性化を目的に設立。『女性がHAPPYになれば世界はHAPPYになる。』という考えのもと、8つの目標とSDGs(持続可能な開発目標)を女性の力で推進すべく活動中です。
すべての女性が人生の主人公となる生き方を選択し、持てる力を発揮できる社会を目指し、。イキイキワクワクを追求する女性のためのライフデザインコミュニティがHAPPY WOMANです。」

Q2:『男性』である小川さんが、女性のエンパワーメントに興味を持ったきっかけは?
「二人の子供、共に自宅出産で、へその緒を私が切りました。自分の人生100年だけでなく、子供たちの未来の100年まで考えた行動をしていきたいと思ったことがきっかけです。
女性がまさに持続可能な地球、そして社会づくりに大きな力を持っている。その女性をHAPPYにすることが、明るい未来をつくる最大のポイントと考えたため。
前職のマイナビ時代から女子高校生中心のキャリア教育を独自の手法で行ってきました。独立後もその活動を進化させ、すべての女性のライフデザインを支援しています。」

Q3:なぜ『女性がまさに持続可能な地球、また社会づくりに大きな力を持っている』と?
「大袈裟ではありますが、女性のエンパワーメントを推進し、男性も変わり、『人類』が途絶えないための地球規模の共通の課題や責任を認識することが重要です。その中で、まだ世界中で発揮できてない女性が本来持っている力は、SDGs推進、経済や社会の活性化はじめ、明るい未来を実現する重要な要素と考えます。」

Q4:活動を始めて、目の当たりにした現実と想像にギャップはあった?
「『女性活躍推進』=『少子化推進』のジレンマ。
“人口減少→労働力減少→女性活用推進→晩産化進行→少子化進行→総人口減少”
結婚する/しない、子供を産む/産まない、選択の自由に対し、「個人のライフプランに口を出すな」という批判が起きやすい現在。」

Q5:ジレンマを解消するためにどのようなことをしている?
「過去女性は、仕事を取るか、出産を取るか、という選択肢しかなかった。現代では仕事と出産・育児が両立できる環境を整備するのは社会として当然のことですが、女性が働きながら育児を全部抱えるのは無理があります。夫婦二人で子育てを行うためのワークライフバランス、特に男性の長時間労働の問題の解決も必要。統計的にも、男性の家事時間が増えれば、女性の2人目の出産が増えるという結果が出ています。
ただ、それだけでは根本の解決にはならない。
妊娠・出産に関する『生物学的な適齢期』のことを改めて伝える必要があります。男女共にライフプランを立てる上での正しい知識、情報伝達が必須で、そのようなセミナー・勉強会も強化していく予定。」

Q6:ジェンダーギャップ指数(WEF)が先進7か国で最下位だった日本(2018年)。なぜだと感じている?
「過去の『男性社会』に勝ち抜いてきた女性部長を見て、憧れる若い女性が少ない現実。男性と戦うために男性化した女性部長のようになりたくはない、出世することが必ずしも幸せではない、そこまで責任を取りたくない、そんな考えの女性が多いことも事実です。」
Photo:HAPPY WOMAN FESTA 2019にて

Q7:今年で3回目を迎えた『HAPPY WOMAN FESTA』。全国12都道府県でセミナーを開催、またAWARDも実施するなど活動の範囲が拡大。その大きな要因は?
「行動力。巻き込み力。情熱がすべて。人の能力の差は3倍程度とすれば、情熱の差は100倍ある。」

Q8:女性の意識は変化していっていると思う?
「YES。」

Q9:男性や社会にも変化を感じている?
「YES。」

Q10:世界的な持続可能な開発目標(SDGs)や国内政策で女性エンパワーメントに注目が集まっている昨今。『HAPPY WOMAN』の責務とは?
「SDGsの日本での認知度自体は約15%と低いですが、理解が進めばアクションを起こさせる力があります。現状では男性の認知が高く、特に男性20代では3割を超えます(32.0%)。女性20代は1割にも満たず(9.0%)、女性40代はわずか3%と男女差が明らか。社会でより重要な役割を担う消費力のある女性をどのように巻き込んで行くかが課題です。
HAPPY WOMANではビジネスだけでなく暮らしやライフスタイルにもSDGsを浸透させ、女性の認知度や参加度をアップしていきたいと考えています。
その中で、明るい未来を創造すべく、持続可能な取り組みで社会に貢献するとともに、自身もいきいきと輝き、2019年度にさらなる活躍が期待できる女性を『HAPPY WOMAN』として表彰する「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」の表彰式を3月8日にウェスティンホテル東京で開催。この受賞と取り組みを広く社会に知らしめることで、国際女性デーおよびSDGsの認知拡大と同時に、女性のエンパワーメント推進と社会活性化に寄与することを目的としています。」

Q11:今後、どのような活動をしていくか教えて。
「国際女性デーを日本の新たな文化にすべく、2025年を目標に『HAPPY WOMAN FESTA』の47都道府県同時開催を目指しています。三年目の2019年は12都道府県29会場で開催し、約3万5,000人が参加しました。また、HAPPY WOMANで繋がった女性ネットワークで、新たなビジネスを創出していきます。」

Photo:HAPPY WOMAN FESTA 2019にて


Q12:社会で活躍する女性は増えてきていると感じる?
「NO。職場での男女平等度を示す、ガラスの天井指数(2017)はOECD加盟国で29カ国中28位。ジェンダーギャップ指数(2018)144カ国中110位、前年より順位を4つ上げたが主要7カ国(G7)で最下位。
企業の人事部やダイバーシティ推進室の方々とお話しすることが多いですが、女性の活躍推進法が制定されたから無理やり女性管理職を増やしている企業が多い印象です。
HAPPY WOMANの活動は、女性がイキイキワクワクと生きるためのライフデザインを重要視しています。企業担当者も一人の人間。自分自身もどのようにこれからを生きていくのかを考えるきっかけとなり、意識を新たに行動頂くきっかけになっていると感じています。」

Q13:なぜ女性は男性に比べて、社会で活躍するにはハードルが高い(と思われがち)だと思う?
「1)『アンコンシャスバイアス』
ビジネスの世界において『男女差』を生んでいるのは、私たちを取り巻く社会的環境や文化に影響を受けています。
もともと男女には違う能力が与えられ、男性は狩をできる「筋力」、女性は子供を産める「精神力」。
太古の昔、男性はマンモスを狩るなど体力勝負で食料を得て、家族を守り、「食わせる」役割を果たす一方、女性は洞窟の中で子供を育てながら男性が獲ってきてくれる獲物をを待ちながら生きてきました。そこから「お父さんは一家の大黒柱」「男は強くあるべき」「男は女子どもを食わせてなんぼ」「女性は気配り上手であるべき」「女性は家庭を守るサポート役」といった、男女それぞれに対するステレオタイプが生まれたため。

2)男性がつくりあげてきたビジネス社会のプラットフォームに、強引に女性をはめこもうとしているため。


3)社会で活躍したいと思っている女性もまだまだ少ない。」

Q14:今後、どのような女性が社会で活躍できると思う?
「行動をする女性(これは男性でも同じ)。口で綺麗事を言うだけの人は山ほどいますが、行動をする人が少ない。行動をしないと何も始まらない、変わらない。」

Q15:女性エンパワーメントがより一層前進するために、今の社会には何が必要だと思う?
「男性だけでなく、女性自身の意識改革も必要です。より前向きに、より積極的に行動をすること。」

Q16:小川さんにとって『自分らしい』生き方・働き方とは?
「好奇心を持ち、イキイキワクワクを追求すること。」

Q17:より多くの女性が『自分らしい』生き方・働き方をするために、社会に必要なことは何だと思う?
「男性によって作り上げられてきた社会のプラットフォームに無理やり女性をねじ込むのではなく、制度や環境整備を見直すことは最優先。そして、女性の活躍推進はあくまでも『働く』ということにおいてですが、働くために生きているのではなく、自分の人生を豊かにするために働くという考え方、ライフデザインが重要です。また、『自分らしさ』を見つけられていない人も多いので、男女共にライフプランを立てる上での正しい知識、情報伝達等の教育も必要だと思います。」

Q18:世界各地に暮らす女性メンバーで成り立つlander laboに、今後期待する事があれば教えて。
「国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA、コラボ企画。」

Q19:あなたのモットー(座右の銘のようなもの)は?
「前例をつくる。」

《編集後記》
女性エンパワーメントの推進には、社会はもちろん、女性自身の意識もとても大切になってくる。日々の意識を変えて少し行動してみる、そんな女性が増えると一気に変革が巻き起こる起爆剤になるのかもしれない。(by Sakiko from Tokyo)


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